がんは早期発見、早期治療が大切だといわれます。とはいっても、どこまでが初期段階なのか、いつまでに発見できれば助かるのか、そんな疑問は尽きません。
ここではがんの初期段階と治療内容、そして光免疫療法との関係についてお話しします。
がんの進行の程度を判定するための基準を「ステージ」または「病期」といいます。がんのステージの分類にはさまざまな方法がありますが、国際対がん連合(UICC)の「TNM分類」がよく知られています。
この分類では、がんのステージを進行度によって初期段階の0期から最も進行している4期までの5つに分類しています。TNM分類の判定にあたっては、以下の3つの指標を用います。
さらにTNM分類のステージの定義は以下の通りです。
このように、ステージ0~1の状態であれば、がんの初期段階といえるでしょう。
がんの種類にもよりますが、ステージ1であれば、平均して5年生存率は80パーセントを超えます。いかにがんの早期発見が大切か、おわかりいただけると思います。
ただし、5年生存率はあくまでも5年後に生存している人の割合です。この中には、5年の間にがんが再発して治療を受けている人も含まれますので、がんが完治する可能性とイコールではないことを理解する必要があります。
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター(https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/0808_1/index.html)
問題なのは、初期のがんで治療がうまくいったとしても再発しないとは限らないということです。
がんの種類によって治療内容は大きく変わってきますが、手術が可能ながんで初期段階であれば、まずは手術が勧められることになるでしょう。消化管のがんなどの場合は、開腹をせずに患者さんの負担が少ない内視鏡手術が選択されることもあります。
ステージ1で手術を受けた場合、再発予防のために経口タイプの抗がん剤をしばらく服用することもありますが、切除した組織の病理検査に問題がなければ経過観察へと移行します。
いずれにしても、手術となると入院が必要です。これもがんの種類によって変わりますが、初期段階のがんで負担の少ない手術法だとしても、少なくとも1週間以上の入院期間になるでしょう。
また、当然ですが身体にメスを入れるということは少なからず身体にダメージを与えます。がんの初期段階だから体力は落ちていないといっても、手術による負担から全身が回復するには時間がかかりますし、麻酔にもリスクがあることを忘れてはなりません。
がんの初期段階に対しては、上記のように手術が勧められることが多いと思います。ですが患者さんの身体的負担が少ない光免疫療法から始めることも、1つの選択肢として検討しても問題ありません。先に述べた通り、光免疫療法はがん細胞を攻撃する免疫細胞が活性化されるため、再発予防にもつながります。
ただ、手術で開いた部分に光を届けられるということを考慮すると、光免疫療法は手術療法と相性がいいと考えられるかもしれません。特にがん細胞と正常な細胞が混ざっているがんや、身体の奥のほうにあるがんなどは、手術と光免疫療法を併用することで治療効果をさらに高めることが可能でしょう。
放射線治療や化学療法は患者さんの免疫に悪影響を与えることも多いため、光免疫療法から先に行なうのが適切だと考えられます。ですが、光免疫療法もすべてのがんを治せるわけではないので、やはりそれぞれの患者さん個々のケースに応じて検討していくことになると考えられます。
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