皮膚がん(メラノーマ)

皮膚がん患者は光免疫療法を受けられるのか?

皮膚がんの患者さんが国内で光免疫療法を受けるためには、どうすればいいのでしょうか。治療の種類ごとに見ていきましょう。

光免疫療法(薬品名:リポソーム)を受けるには

これまでにはなかった新しいがん治療法として注目されている光免疫療法ですが、現在も研究開発の途上で承認前の治療法となっています。しかし、承認に先駆けて光免疫療法を受けることができる医療機関が日本国内にあります。皮膚がんへの効果も含め、そちらに相談してみてください。

近赤外線免疫療法(薬品:IR700)を受けるには

近赤外線免疫療法も、光免疫療法と同じく承認前のがん治療法です。早期の承認と実用化を目指して臨床試験が国内外で積極的に行なわれていますが、現在のところ皮膚がんの患者さんは対象になっていません。

したがって、皮膚がんの患者さんが近赤外線免疫療法を受ける手段は現時点では存在しないのです。

皮膚がんの光免疫療法に関する研究について

2020年8月4日現在、皮膚がんの光免疫療法に関する大きな研究成果は発表されておりません。

光免疫療法が受けられる病院について

近赤外線免疫療法は国内でも急ピッチで臨床試験が進められていますが、現在のところ皮膚がんの患者さんは対象となっていません。

光免疫療法であれば、皮膚がんの患者さんでも承認に先駆けて治療を受けることが可能な医療機関が国内にあります(2021年5月時点)。詳しくは下記のページをご覧ください。

そもそも皮膚がんとは

皮膚に発生する悪性腫瘍が皮膚がんですが、その種類は非常に多くなっています。

皮膚は表皮、真皮、皮下脂肪の三層構造になっており、いちばん表面の角化細胞をはじめとして汗腺、脂腺、毛、血管やリンパ管、神経、筋肉などさまざまな組織が集合して成り立っています。どこにどんな悪性腫瘍が発生するかで変わってくることが、皮膚がんの種類が多い理由です。

その中でも悪性度が高い皮膚がんが、悪性黒色腫(メラノーマ)です。メラノーマは「ほくろのがん」として比較的よく知られています。

皮膚がんはなぜ起こるのか

皮膚がんの種類によって発症リスクは少しずつ異なりますが、全般的に共通するのは長期にわたって紫外線を浴び続けることだと考えられています。前述のメラノーマは白色人種の発症率が有色人種よりもかなり高く、紫外線が強い地域で生活している白色人種はさらに発症率が高くなるといわれており、紫外線の影響が関わっていることの裏付けだといえます。

しかし、日本人の場合は紫外線の影響をあまり受けない手や足の裏などにメラノーマが発生することが多く、紫外線の影響は少ないようです。とはいえ、過度な日焼けは避けたほうが無難です。実際に日焼け止めなどで紫外線を防ぐと、その部分の発症率が低くなる傾向があるようです。

違う角度から考えると、手や足の裏は生活していて刺激を受けやすい部位です。したがって、外部からの刺激が多いことも発症リスクのひとつだと考えられそうです。

皮膚がんの症状

メラノーマを例に挙げると、最初は黒いしみのようなものが現れます。それが少しずつ不規則な形に広がったり、色にむらができたり、吹き出物のような結節ができたりしていきます。

初期のメラノーマは単なるほくろやしみのように見え、痛みもないので、それで皮膚がんを疑うのは素人目には難しいでしょう。しかし、形が左右非対称だったり輪郭がギザギザだったりすると要注意です。正常な皮膚との境目が不明瞭な場合や、徐々に大きくなるのもメラノーマの症状です。

皮膚がんのステージ(病期)分類

悪性腫瘍は治療方法の検討などのために、進行の度合いなどからステージ(病期)の分類を行ないます。これは皮膚がんも同様です。

皮膚がんのステージはがん組織の厚みやリンパ節・他臓器への転移の有無によって決められます。メラノーマの場合は0期からⅣ期までの5段階となります。

皮膚がんの治療方法

皮膚がんの治療方法はステージ(病期)に基づいて決められます。

基本的に皮膚がんは外科的にがんを切除する手術療法が優先されます。しかし、メラノーマの場合は全身どこにでも転移するので、進行してしまった場合は手術療法だけではなく、放射線治療や化学療法など複数の手段を組み合わせた集学的治療を行ないます。

近年ではメラノーマの進行に関与する遺伝子の存在が明らかにされ、それに合わせた分子標的薬が実用化されています。また、がん細胞が免疫細胞の攻撃から隠れるために出しているシグナルを解除する免疫チェックポイント阻害剤も登場したことから、メラノーマに対する化学療法の選択肢の幅が広がってきたところです。

手術

リンパ節以外の臓器への転移がないステージⅢまでのメラノーマであれば、がん病変を取り除く切除術が基本的な治療になります。

手術はがん病変の周囲も広めに切除し、切除する深さはそれぞれの組織の深達度に応じて決定します。

他の臓器への転移があるステージⅣの場合は、切除が可能であれば少数の転移に対して手術を行なうこともありますが、それが困難な場合は抗がん剤治療や放射線治療が選択されます。

また、副作用や全身状態によっては緩和ケアをあわせて実施していきます。

抗がん剤治療

メラノーマに対する抗がん剤治療は選択肢が限られていましたが、近年の新薬登場で状況は劇的に変化しました。

そのきっかけは2014年の新薬「ニボルマブ」の発売で、それ以降も治療は進歩し続けています。

現在は免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬のラインナップも充実し、米国や欧州とほぼ同様の抗がん剤治療が可能になったとされています。

放射線治療

高エネルギーのX線などを照射してがん細胞を死滅させるのが放射線治療です。

メラノーマは放射線療法の効果が低いと考えられてきましたが、脳や全身に遠隔転移を起こした場合は緩和ケアのひとつとして放射線治療を行なうことで、痛みなどの症状を和らげることができます。

陽子線や重粒子線などの特殊な放射線が効果を示すという報告もありますが、これらはごく限られた医療施設でしか受けることはできません。

免疫療法

当サイトで紹介している光免疫療法も広義では免疫療法のひとつですが、光をあててがん細胞を直接破壊するという一面をもっていることから、他の免疫療法とは一線を画すといっていいでしょう。

皮膚がんに対する光免疫療法の現状は上記のとおりです。

このほか、手術や抗がん剤治療、放射線療法に次ぐ第4の治療法として期待できるという見方もある免疫細胞療法があります。患者さん自身の血液から免疫細胞を取り出し、人工的に増殖・活性化させて体内に戻すことでがん細胞への攻撃力を高めるというものです。

代表的な免疫細胞療法には、リンパ球にがんの目印を教えるという樹状細胞の特性を活かしてがん細胞を狙い撃ちする「樹状細胞ワクチン療法」などがあります。

遺伝子治療

無秩序に増殖を繰り返すがん細胞に対し、正常ながん抑制遺伝子を投与することで増殖をストップさせ、がん細胞のアポトーシス(自然死)を促すのが遺伝子治療です。

人間には本来がん抑制遺伝子が備わっていますが、これが異常をきたしたことで病気としてのがんが発生すると考えられています。

そのメカニズムに着目したのが遺伝子治療で、メラノーマにおいても発症リスクに関わるがん抑制遺伝子の存在が明らかになっています。

2020年11月の段階では自由診療となっており、高額な費用が発生するため実施しているクリニックの公式サイトを事前にチェックしてください。

皮膚がんの転移・再発

がん細胞が血液やリンパの流れに乗って他の臓器などに異動し、そこで増殖するのが転移です。また、治療によってがんが目に見えなくなったとしても、時間をおいて再び出現するのが再発です。

メラノーマは全身どこにでも転移するとお話しましたが、ステージが進行するにつれて転移や再発の可能性は高くなります。再発した場合でもすぐであれば治療の効果が期待できるといわれていますが、これも個人差があります。

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