卵巣がん

卵巣がん患者は光免疫療法を受けられるのか?

卵巣がんの患者さんが国内で光免疫療法を受けるためにはどうすればいいのでしょうか。治療の種類ごとに見ていきましょう。

光免疫療法(薬品名:リポソーム)を受けるには

まったく新しいがん治療法として世界中の注目を集めている光免疫療法ですが、現時点ではまだ承認前の治療法となっています。しかし、承認に先駆けて光免疫療法を受けることができる医療機関が日本国内にあります。卵巣がんへの効果も含め、まずはそちらに相談してみてください。

近赤外線免疫療法(薬品:IR700)を受けるには

近赤外線免疫療法も、光免疫療法と同じく承認前のがん治療法です。早期の承認と実用化を目指して臨床試験が国内外で行なわれている最中ですが、現在のところ卵巣がんの患者さんは対象になっていません。したがって、卵巣がんの患者さんが近赤外線免疫療法を受けることができないのが実情です。

卵巣がんの光免疫療法に関する研究について

2020年8月4日現在、卵巣がんの光免疫療法に関する大きな研究成果は発表されておりません。

研究発表ではありませんが、1つ紹介できる情報があります。

近赤外線免疫療法で使用するIR700はがん細胞に発現しているEGFR(上皮成長因子受容体)に結合しますが、そのEGFRは卵巣がんでも発現します。現在は頭頸部がんをはじめとした一部のがんでしか臨床試験が行われていませんが、卵巣がんに対する近赤外線免疫療法についても研究が進んでいくことが期待できそうです。

光免疫療法が受けられる病院について

近赤外線免疫療法は国内でも急ピッチで臨床試験が進められていますが、現在のところ卵巣がんの患者さんは対象となっていません。

光免疫療法であれば、卵巣がんの患者さんでも承認に先駆けて治療を受けることができる医療機関が国内にあります。詳しくは次のページをご覧ください。

そもそも卵巣がんとは

卵巣の表面を覆っている表層上皮に発生する悪性腫瘍が卵巣がんです。

卵巣は卵子を蓄える女性特有の臓器で、子宮の両側にひとつずつ存在します。成熟した卵子を閉経まで周期的に放出し、その一方で女性ホルモンを分泌する働きを持っています。

卵巣はもっとも腫瘍が発生しやすい臓器のひとつで、その種類も多岐にわたります。位置的にも卵巣は腹部の奥の方に存在するため、腫瘍が発生したとしても自覚症状に乏しく、卵巣が肥大するまで気づかない場合も珍しくありません。そのような腫瘍の中でも悪性なのが卵巣がんです。

卵巣がんの種類

卵巣がんには大きく分けて4つの組織型があります。

もっとも多いのは進行が早い反面で抗がん剤の効果が高い「漿液性がん」、他にはサイズが大きくても進行するケースは少ない「粘液性がん」、異型度に違いがあって進行が早かったり遅かったりする「類内膜がん」、進行が遅い反面で抗がん剤の効果が低い「明細胞がん」です。

このような組織型によって化学療法の効果も変わってくるため、同じ卵巣がんといっても別の病気として治療にあたることが必要となります。

卵巣がんの症状

初期の卵巣がんに特徴的な症状はほとんどありません。

がんが大きくなってくると下腹部の違和感や痛み、不正出血、便秘や頻尿、食欲低下などがみられ、さらに進行して腹部の臓器に転移すると、腹部に水が溜まって全体に張った感じになったり、息切れを起こしたりといった症状が現れます。こうした症状が出て医療機関を受診したとしても、卵巣がんであればすでに進行していると考えたほうがいいでしょう。

初期の卵巣がんは婦人科検診などで偶然発見されるケースがほとんどで、早期発見は難しいと考えられています。

卵巣がんのステージ(病期)

一般的にがんは進行の度合いや患者さんの状態からステージ(病期)に分類され、それをもとに治療方法を検討していきます。

これは卵巣がんも同様で、大きくステージⅠ期からⅣ期の4段階に分けられています。

卵巣がんの治療方法

前述のステージ(病期)や患者さんの年齢、合併症の有無などによって治療法が選択されますが、多くの場合は手術療法と化学療法(抗がん剤治療)を組み合わせて実施します。すでに転移がみられて手術で完全に取り除くことが難しい場合は、最初に化学療法でがんを小さくしてから手術を行なう場合もあります。

卵巣がんはその種類によっては初回の抗がん剤の効果が高いとされていますが、再発もしやすいためその予防として手術後に抗がん剤を投与することも検討します。脳や骨などに転移してしまった場合は、症状緩和を目的として放射線治療を行なうことも。

手術を行なう場合は卵巣だけではなく卵管、子宮、大網も一緒に切除するのが一般的ですが、将来的に子どもを生む、つまり妊孕性の温存を希望する場合は医師と十分に相談して治療法を選択することが大切です。

卵巣がんの転移・再発

がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って他の臓器に移動し、そこで増殖して広がることを転移といいます。また、治療によってがんが肉眼で見えなくなっても、再びがんが出現することを再発といいます。

卵巣がんも治療終了後は慎重な経過観察が必要で、とくに再発しやすいとされる治療後2年間は短いスパンで検査を行ないます。転移もしくは再発してしまうと、治療の目的は根治から症状緩和へ、つまりがんと長く共存していくことに変わります。その場合は化学療法を中心に行なうことになりますが、一般的に初回時ほど高い効果は望めず、副作用も強くなる傾向があります。

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