白血病の患者さんが国内で光免疫療法を受けるためにはどうすればいいのでしょうか。治療の種類ごとに見ていきましょう。
優れたがん治療法と考えられている光免疫療法ですが、現在はまだ承認前の治療法です。ただ、その承認に先駆けて光免疫療法を受けることができる医療機関が日本国内にあります。白血病への効果も含め、そちらに相談してみることをおすすめします。
リポソームを用いた光免疫療法と同様、近赤外線免疫療法も承認前のがん治療法です。国内では積極的に臨床試験が実施されていますが、白血病の患者さんは対象になっていません。したがって、白血病の患者さんが近赤外線免疫療法を受けることはできないのです。
近赤外線免疫療法の開発者によると、固形がんに適応があるとされています。しかし、近赤外線を照射するのが難しいがんには治療が難しいとのことです。したがって、白血病のような血液がんには効果が期待できないかもしれません。
一方、リポソームを用いる光免疫療法は血液がんにも適応があると考えられています。リポソームは骨髄内にも蓄積し、それを白血病細胞が優先的に取り込むためです。
2020年6月25日現在、白血病の光免疫療法に関する研究結果などは発表されておりません。
近赤外線免疫療法は早期の承認・実用化を目指して国内でも積極的に臨床試験が実施されています。しかし、臨床試験の対象は一部のがんのみで、希望すれば治療を受けられるわけではありません。
一方、光免疫療法は承認に先駆けて治療を受けることができる医療機関が国内にあります(2021年3月現在)。詳しくは次のページをご確認ください。
白血病は悪性リンパ腫や多発性骨髄腫と同じく血液がんの1つです。
造血幹細胞は血液を構成するさまざまな細胞になることができる幹細胞で、赤血球や白血球、リンパ球、血小板に分化します。
その造血幹細胞や前駆細胞に遺伝子の異常が起きて白血病細胞が発生し、それが骨髄で異常に増殖すると血液細胞の正常な増殖を妨げることになります。それが骨髄にとどまらず血液中にもあふれ出してくるのが白血病です。
白血病は急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病の4種類に大きく分類されます。
白血病における急性、慢性の意味は一般的な疾病のそれとは異なり、造血幹細胞が分化能力を失い幼弱な細胞が異常増殖するのが急性、分化能力が保たれているのが慢性です。そして増殖する細胞が骨髄性かリンパ性によってさらに分類されます。
白血病の症状は大きく2つに分けられ、1つは造血機能(血液をつくる機能)の低下による症状、もう1つは増えすぎた白血病細胞が臓器に浸潤することで起きる症状です。
造血機能の低下では赤血球が減少することで貧血の症状が起きたり、白血球が減少することで熱発したり、血小板が減少することであざや出血(鼻血や歯茎出血など)がみられます。
白血病細胞の臓器浸潤では肝臓や脾臓の腫れ、頭痛や全身の関節痛、吐き気、リンパ節の腫れなどが現れます。とくに急性リンパ性白血病は中枢神経系に浸潤しやすいため、頭痛や吐き気、嘔吐といった症状が目立ちます。
急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病の場合は、症状が急激に進行するのでステージ(病期)という概念は存在しません。
慢性リンパ性白血病の場合は血液や臓器の所見によって「Rai分類」「Binet分類」が用いられ、治療開始の判断や予後の見通しなどが立てられています。
慢性骨髄性白血病にはWHO(世界保健機関)が分類した病期があり、慢性期、移行期、急性転化期へと進行していくとされます。
白血病の代表的な治療方法は化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植の3つです。
この中でも一般的なのは抗がん剤を使用した化学療法で、白血病細胞を死滅させて血液細胞の正常化を目指します。放射線療法は放射線を照射して白血病細胞を死滅させることを目的とした治療法です。
造血幹細胞移植は、患者さん自身もしくは他人(ドナー)の造血幹細胞を移植して、血液をつくる機能を回復させる治療法です。ほかの治療では効果が得られない場合に造血幹細胞移植が検討されます。
急性白血病の場合は、完全寛解したとされてもわずかに白血病細胞が残存しています。それが再び増殖することを再発といいます。
慢性骨髄性白血病の場合は、治療によって寛解または治癒と判断されたとしても、再び白血病細胞が出現することが再発、もしくは再燃とも呼ばれています。
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