脳腫瘍

脳腫瘍の患者さんが国内で光免疫療法を受けることはできるのでしょうか。また進んでいる研究がないか調査し、まとめています。

脳腫瘍患者は光免疫療法を受けられるのか?

脳腫瘍の患者さんが国内で光免疫療法を受けるためにはどうすればいいのでしょうか。治療の種類ごとに見ていきましょう。

光免疫療法(薬品名:リポソーム)を受けるには

光免疫療法は新しいがん治療法なのでまだ国内では承認されていません。ですが、その承認に先駆けて光免疫療法を受けることができる医療機関が日本国内にあります。脳腫瘍に対する治療が可能かどうか、そして効果も含め、そちらに相談してみることをおすすめします。

近赤外線免疫療法(薬品名:IR700)を受けるには

上記の光免疫療法と同じく、近赤外線免疫療法も国内では未承認の治療法です。現在のところ脳腫瘍に対する臨床試験も実施されておらず、残念ながら近赤外線免疫療法を受ける手段はなさそうです。

脳腫瘍の光免疫療法に関する研究について

近赤外線免疫療法の生みの親である小林久隆先生によると、外科治療は開いた部位に光をあてるという点で光免疫療法とは相性がよいと考えられているようです。がん細胞と正常細胞が混在している脳腫瘍はとくにそういえるでしょう。脳腫瘍を縮小させる摘出手術で患者さんの症状軽減を図りながら光免疫療法と組み合わせて治療を行なうということが考えられます。

しかし、近赤外線免疫療法の特性上、腫瘍は急速に破壊されることになります。その際には痙攣や脳壊死など、重篤な症状が出現する可能性も否定できません。そもそも光をあてるためには開頭(頭蓋骨や硬膜などを開いて脳を露出させること)しなければならないので、治療対象としての開発には時間がかかりそうです。とはいっても研究が進んでいないわけではありません。脳神経外科分野や光線力学分野の学会では脳腫瘍に対する光免疫療法の可能性については活発に議論がなされており、大きな期待が寄せられているところです。

光免疫療法が受けられる病院について

近赤外線免疫療法は実用化に向けて積極的に臨床試験が実施されていますが、現在のところ対象となっているのは一部のがんのみで、残念ながら脳腫瘍は臨床試験の対象となっていません。したがって、脳腫瘍の患者さんが近赤外線免疫療法を受ける手段はないのが実情です。

光免疫療法は承認に先駆けて実施している医療機関が国内にあります(2021年5月現在)。脳腫瘍に対する治療の可否も含めて相談してみることをおすすめします。詳しくは以下をご覧ください。

そもそも脳腫瘍とは

ひと口に脳腫瘍といっても、発生する脳の部位によって呼び方が異なります。

脳は大きく分類して大脳、間脳、中脳、橋、延髄、小脳の6つから形成され、そこに発生する脳腫瘍を細かく分けると130種類以上にものぼります。発生頻度が高い脳腫瘍としては脳神経細胞に発生する悪性腫瘍の神経膠腫や、脳や脊髄を包み込んで保護している髄膜に発生する良性腫瘍の髄膜種などが挙げられます。

脳腫瘍の原因はさまざまですが、遺伝子の変化がその理由の1つと考えられています。また、生活習慣が脳腫瘍の発生や進行に関与しているという考え方もあります。

他臓器のがんが原因の転移性脳腫瘍

他臓器のがんが転移することで発生するのが転移性脳腫瘍です。臓器別に転移が多いがんを挙げると肺がん、乳がん、胃がんの順になります。中には大腸がんや子宮がんが転移するケースもあります。

こうしたがんは脳のさまざまな部位に転移し、脳腫瘍が複数の部位に多発することが多いのも特徴といえます。

脳腫瘍の症状

脳腫瘍の症状は、腫瘍が発生する部位によって症状の出方が変わってきます。その多くは腫瘍が大きくなることで脳の組織が圧迫され、頭蓋内圧が高くなることで症状が出てきます。

頭蓋内圧が高まると頭痛や吐き気などがみられ、視神経が圧迫されてむくむことで視力に支障をきたすこともあります。

このほか、痙攣や手足のしびれ・麻痺、聴力障害、言葉が理解できなくなるなどさまざまな症状があります。

脳腫瘍のステージ(病期)分類

脳腫瘍には他のがんのようにステージ(病期)分類というものはなく、4段階のグレード(悪性度)で分類します。悪性度が最も低いものがグレードⅠ、悪性度が最も高いものがグレードⅣとされ、先にお話しした神経膠腫のうち最も悪性度が高いものは膠芽腫と呼ばれます。

このグレードによって5年生存率は大きく変わり、神経膠腫のうちグレードⅠ~Ⅱとされる星状細胞腫の5年生存率は75~92%、悪性度が最も高いグレードⅣの膠芽腫は約10%となります。

グレードⅠ

グレードⅠの脳腫瘍は、手術で取り除くことができれば再発のリスクはかなり少ないと考えられています。

グレードⅡ

グレードⅡの脳腫瘍は、ゆっくり成長しながら近くの組織に広がっていきます。手術で取り除いても再発する場合があります。
脳腫瘍の中でも星細胞腫と乏突起神経膠腫がグレードⅡに分類され、成人男性の大脳半球に多く発生します。主な症状は頭痛やけいれんで、進行すると半身麻痺などを起こします。

グレードⅢ

グレードⅢの脳腫瘍は成長が早く、近くの組織に広がる可能性も高くなります。
脳腫瘍の中でも退形成星細胞腫と退形成乏突起神経膠腫がグレードⅢに分類され、正常細胞とは明らかに見た目が異なります。
退形成星細胞腫はさらに高いグレードまで進展することがあり、退形成乏突起神経膠腫は成長スピードが非常に早いことが特徴です。いずれの脳腫瘍も症状にけいれんがみられます。
また、退形成星細胞腫は成人男性の大脳半球に発生しやすいとされますが、退形成乏突起神経膠腫をかかった人が7~8年後に退形成星細胞腫を発症する場合もあります。

グレードⅣ

グレードⅣの脳腫瘍は悪性度が非常に高く、急速に成長して近くの組織に広がっていきます。腫瘍内に死滅細胞のエリアが存在することもあり、根治が困難なケースが多くなります。
脳腫瘍の中でも膠芽腫がグレードⅣに分類され、多形成膠芽腫とも呼ばれる、もっとも予後不良の脳腫瘍とされます。
膠芽腫は2パターンに分けられ、ひとつは初発時から膠芽腫だとわかる一次性膠芽腫、もうひとつは星細胞腫などが悪性転化して発生する二次性膠芽腫です。初発の場合は突然発症して急速に進行することが多く、極端な例では3カ月前の検査で症状が何もなかったという場合もあります。
発症は45歳から65歳の男性の大脳半球に多く、浸潤性が強く神経線維の走行に沿って進展するので病変の広がりも早くなります。また、がん細胞が脳脊髄液にこぼれ出すことで、全脊髄にがんが散らばってしまうこともあります。症状は週単位でどんどん悪化し、頭痛やけいれん、性格の変化、認知症、運動麻痺などが起こります。

脳腫瘍の治療方法

悪性脳腫瘍である神経膠腫を例に挙げると、標準治療として手術療法、放射線療法、化学療法(薬物療法)の3つを組み合わせた治療が行われることになります。

神経膠腫は腫瘍をできるだけ取り除いたほうが予後は良好なため、グレードⅣであっても手術療法が選択されます。しかし、良性腫瘍とは違って正常な脳組織と腫瘍の境目を見極めるのが困難であり、手術で切除しきれなかった腫瘍に対しては放射線療法や化学療法を組み合わせて治療を行ないます。

手術

神経膠腫はどのグレードであっても手術が治療の第一選択肢となります。

通常は開頭術が行なわれますが、手術は5時間以上と長時間に及ぶことも多くあります。

腫瘍を摘出する際には、脳の機能をいかに維持できるかが課題です。手術が上手くいって腫瘍を摘出できても、その後遺症で脳の機能が低下してしまうと手術の生活に支障をきたします。

正常な脳の組織と腫瘍の境界の見極めが、神経膠腫の手術において大切なポイントといえます。

抗がん剤治療

グレードⅢ以上の神経膠腫に対しては化学療法を行ないます。

神経膠腫で多く選択されるのは「アルキル化薬」という抗がん剤で、細胞のDNAと結びつくという特徴があります。

そうなると腫瘍細胞は分裂できなくなるので、増殖を防ぐことができるのです。

代表的なアルキル化薬は「テモゾロミド」という内服薬で、血液細胞をつくる機能が低下する骨髄抑制などの大きな副作用が少ないことが特徴です。

放射線治療

神経膠腫に対する放射線治療は、グレードに関わらず初めて腫瘍が発生した場合に実施されます。
ただ、再発する可能性も高いため化学療法を併用することが多くなります。

脳全体に照射する方法は腫瘍組織をすべてカバーできますが、正常な脳組織にもダメージを与えてしまうため、脳機能が低下してしまうおそれがあります。

とくに認知機能を司る海馬に放射線があたると、学習機能や記憶力に支障をきたします。

近年では定位放射線治療や強度変調放射線治療といった高精度な放射線療法が普及しており、正常な組織に影響を与えず腫瘍に集中して放射線を照射できるようになってきました。

免疫療法

当サイトで紹介している光免疫療法は、光をあててがん細胞を破壊することで抗体を得た免疫細胞が活性化するというメカニズムです。

そういう意味では名称のとおり免疫療法のひとつといえるでしょう。
脳腫瘍に対する光免疫療法の現状は上記のとおりです。

このほか、患者さんの免疫細胞を取り出して体外で増殖・活性化されて体内に戻し、がん細胞を攻撃するという免疫細胞療法という方法もあります。抗がん剤などと違ってもともと身体が持っている力を使った治療法なので、大きな副作用は少ないとされます。

代表的な免疫細胞療法には、免疫細胞の司令塔である樹状細胞を活性化させる「樹状細胞ワクチン療法」や、がん細胞をはじめとした異物を見つけ次第攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させる「NK細胞療法」などがあります。

遺伝子治療

神経膠腫に限らず、腫瘍細胞は遺伝子に異常をきたしたせいで悪性化してどんどん増殖するようになります。
これを防ぐのががん抑制遺伝子で、細胞の無秩序な増殖にブレーキをかけてアポトーシス(自然死)に導くのが本来の姿ですが、がん患者さんの多くはこのがん抑制遺伝子が壊れてしまっています。

そこで正常ながん抑制遺伝子を投与してがんを退治するのが遺伝子治療なのです。

神経膠腫に有効とされるがん抑制遺伝子も発見されており、2019年6月より臨床試験も開始されています。
※現在、遺伝子治療は自由診療となり標準治療ではありません。

脳腫瘍の転移・再発

他の臓器のがんとは関係なく、脳で発生した原発性脳腫瘍は他の臓器へ転移することはまずありません。脳にはリンパ管が存在しないため、他の臓器に移動することがないからです。

しかし、手術で腫瘍をすべて取り除くことができなかった場合は再発する可能性があります。たとえ良性腫瘍であっても、再発したときには悪性腫瘍となっているかもしれません。もちろん他の臓器にがんがある場合は転移性脳腫瘍を発症することがあります。

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