手術療法

わが国では久しく手術療法ががん治療の中心とされてきました。

どのような手術があり、どのような効果があるのか。そして治療期間や費用、デメリットやリスクは?がん治療の選択肢として欠かせない手術療法についてお話しします。

がん三大療法のひとつ「手術療法」

がん三大療法のひとつ「手術療法」

外科手術によってがんの切除を行なうのが手術療法です。

がん手術では、病巣の周辺組織やリンパ節に転移があれば可能な限り一緒に切除しますが、目に見えないがん細胞が転移している可能性のある周囲の正常組織も含めて切除することが一般的です。現在では、早期のがんやある程度進行しているがんでも切除が可能であれば、積極的に手術療法が選択されます。

がんのかたまりが一気に取り除けること、転移がなければ完治の可能性が高いことが手術療法のメリットです。しかし、身体にメスを入れることは大きな負担があります。手術による傷の治りや全身の回復に数ヵ月の時間を要し、切除した部位によっては臓器や身体の機能が失われることもあります。

こうしたデメリットを少しでも小さくするために、最近では切除する範囲を最小限にとどめるための技術(縮小手術)や、内視鏡を用いた腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術など、身体への負担が少ない手術方式の研究開発、普及が進んでいます。

また、がんの切除が目的ではなく、症状緩和のための手術もあります。たとえば、消化管のがんにより食べたものが通過しにくくなったり、病巣から出血したりといった切迫した症状を改善するために行なう手術がそれにあたります。

これ以外にも、手術により失われた機能を回復させるための手術や、乳房再建術のように審美性を保つことを目的のひとつとした手術もあります。

手術療法の治療期間

手術療法は、原則として入院によって行われます。手術方法はもちろんのこと、がんの種類や症状、同時に実施する治療内容などによって要する治療期間(入院日数)はさまざまです。

以下はあくまでも目安であり、実際の治療がこのとおりに進むわけではないことをご承知ください。

参照元:聖路加国際病院公表データ(http://hospital.luke.ac.jp/guide/cancer/schedule.html)

消化器のがん

  • 胃がんの手術:10日から2週間程度(内視鏡の場合は1週間程度)
  • 食道がんの手術:2週間から4週間程度(内視鏡の場合は1週間程度)
  • 大腸がんの手術:1週間から2週間程度(内視鏡の場合は1週間程度)
  • 肝がんの手術:1週間程度
  • 胆道がんの手術:1週間から2週間程度
  • 膵がんの手術:2週間から3週間程度

呼吸器のがん

  • 肺がんの手術:1週間程度

泌尿器のがん

  • 前立腺がんの手術:1週間から2週間程度
  • 膀胱がんの手術:3週間から4週間(経尿道的手術の場合は1週間程度)
  • 腎がんの場合:1週間から2週間程度

女性のがん

  • 子宮がんの手術:1週間から2週間程度
  • 卵巣がんの手術:1週間から2週間程度
  • 乳がんの手術:4日から2週間程度

頭部のがん

  • 脳腫瘍の手術:5週間から6週間
  • 舌がんの手術:1週間から2週間
  • 歯肉がんの手術:1週間程度

皮膚のがん

  • 悪性黒色腫の手術:2週間程度

手術療法の費用

手術療法の費用も、手術方法や同時に実施する治療内容などによってさまざまです。ここでは代表的な手術療法について、健康保険適用(3割負担)の範囲内として挙げていますが、これもあくまでも目安であることをご承知ください。

  • 胃がんの手術(腹腔鏡下幽門側胃切除術の場合):約500,000円
  • 大腸がんの手術(腹腔鏡下S状結腸切除術の場合):約400,000万円
  • 肺がんの手術(胸腔鏡下肺葉切除術の場合):約600,000万円
  • 子宮がんの手術(広汎子宮全摘術の場合):約400,000万円
  • 乳がんの手術(乳房部分切除術及びセンチネルリンパ節生検):約270,000円

参照元:聖路加国際病院公表データ(http://hospital.luke.ac.jp/guide/cancer/charge.html)

繰り返しになりますが、これはあくまでも目安です。例えば胃がんの手術にしても、上記の例では約50万円となりますが、内視鏡下の胃粘膜手術であれば10万円程度のこともありますし、開腹して胃を切除するような大がかりな手術であれば100万円を超える費用を要することもあります。

保険適応の治療費には高額療養費制度を利用することができますので、年齢や年収によりますが10万円未満の負担で済む場合もあります。

手術療法の流れ

一般的には、がんの診断を受けてから治療方針を検討し、その上で適応があると判断された場合に手術療法を選択することになります。

手術は全身麻酔で行なうことがほとんどですので、入院前に心肺機能や血液の検査を行ない、間違いなく手術療法の適応があるか、そして身体が手術の負担に耐えうるかどうかを詳しく調べます。万が一そこで何らかの問題が見つかると、さらなる検査のために手術が延期になったり、手術そのものができなくなったりする可能性もあります。

手術が可能であると判断されたら予約を取り、一般的には手術の数日前に入院することになります。ただし、糖尿病などの持病を抱える患者さんの場合は早めに入院して症状をコントロールし、体調を整えておくことが必要になる場合もあります。

これらは患者さんの症状その他の理由により変わってきますので、必ず医師の判断に従ってください。

手術療法のデメリットやリスク

冒頭で申し上げた通り、メスを入れるということは身体にとって大きな負担になります。ましてやがん患者さんであればなおのこと。手術による傷や全身の回復に時間がかかりますし、麻酔の合併症を起こすリスクもありますので、それらの危険性を上回る治療上のメリットが期待できる場合に手術療法が選択されます。手術による身体の負担に関していえば、縮小手術や内視鏡下手術など、近年では技術の向上によって身体への負担を軽くできるようになってきました。

また、がんを切除することによって臓器や身体の機能が失われることがあります。代表的なもののひとつはストーマと呼ばれる人工肛門でしょうか。これは大腸がんなどの手術で排泄機能が失われた例です。筋肉や骨のがんで四肢を切断しなければならないというのも手術による身体機能の喪失といえるでしょう。

手術療法には限界があり、目に見えないようなごく小さな転移(微小転移)には対応が困難です。病状が進行している場合や、そもそも手術ができない部位にできてしまったがんにも適応しません。具体的にいいますと、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って手術可能な範囲を超えたリンパ節や臓器、骨、脳などに転移してしまうと、残念ながら手術療法は無力といってもいいでしょう。このような進行がんに対しては、手術療法に放射線治療や抗がん剤治療を組み合わせて実施することもあります(集学的治療)。

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