外科手術、放射線治療、抗がん剤治療、薬剤治療に次いで、「第5のがん治療法」として期待されている光免疫療法。ここでは、楽天の三木谷会長も出資した光免疫療法について、2021年8月15日付の「Yahoo!ニュース」の掲載記事を参照してご紹介します。
参照元:Yahoo!ニュース「楽天・三木谷会長も出資する「光免疫療法」ピンポイントでガンを破壊」
https://news.yahoo.co.jp/articles/cc28443bda56d3aab57d031317fea29ace386e91
2020年9月に承認され、2021年1月20日、国立がん研究センター東病院にて、世界で初めて施術が行われた光免疫療法。「第5のがん治療法」として期待されている光免疫療法ですが、「ゆくゆくは『第1のがん治療法』を目指す」と、研究を主導する米国立衛生研究所(NIH)主任研究員の小林久隆氏は語ります。
「光に反応する性質」と「がん細胞の表面にくっつく性質」を両方持つ特殊な抗体を、点滴で患者の体内に投与。がん細胞周辺に赤外線レーザーを照射して色素に化学反応を誘発させ、この化学反応の力でがん細胞を破壊する、という治療法です。患部が奥深い場合には光ファイバーを使用して光を照射します。
一般的な放射線治療や抗がん剤治療などとは異なり、がん細胞のみを狙い撃ちできることが、光免疫療法の大きな特徴。正常な細胞を傷つけることがないので、治療後に患者の全体的な免疫力が低下することはありません。
この光免疫療法を長く研究してきた医学者が、米国立衛生研究所(NIH)主任研究員の小林久隆氏。神戸に住む従兄弟の紹介で、2013年、同じ神戸出身の楽天・三木谷会長との縁が生まれたそう。ちょうど三木谷会長は、膵臓がんを患っている父親のため、治療法を模索している最中でした。
大事な縁を得た小林氏は、三木谷会長の私費による支援で臨床治験を加速。2020年9月、ついに目標の第一段階である承認を取得しました。
なお2021年8月現在、小林氏が研究を進めてきた光免疫療法の排他的ライセンスは楽天メディカルが保有。「イルミノックス」の名で商標登録をしています。
2021年8月時点では、「イルミノックス」が保険適用される症例は頭頚部がんのみ。他の治療法の選択肢がない場合に限ります。頭頚部がんの他にも、食道がんや子宮頸がん、乳がんなどにも有効である可能性が高いため、早い段階で他の症例の保険適用も目指していきたいとのことです。
なお、光免疫療法に使用するレーザー装置は、1台数百万円程度と低コスト。1台数億円もする放射線治療の設備に比べ、医療機関での負担は大きく軽減します。
参考までに、患者が負担する光免疫療法の治療費は10数万円ほど(高額療養費制度などを利用した場合)。最新のがん治療法として、決して高額な治療費ではないでしょう。
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