こちらでは、がんの新たな治療法として注目を集める光免疫療法、神戸大学病院における最新情報を解説。現状抱えている問題や課題などについても取り上げてご紹介したいと思います。
参照元:神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202105/0014333729.shtml
がんを狙い撃ちする新たな治療法として、また既存の手術、放射線、抗がん剤といった治療法に加わったあらたな選択肢として、注目を集めている光免疫療法。2021年5月、神戸大病院にて、兵庫県初となる治療が実践されました。患者は73歳の口腔(こうくう)がんの男性。再発を含め6回目の発症で手術は困難な状況。そこで光免疫療法を実践。照射から約3週間で約7割の腫瘍が壊死するという効果を上げたとのことです。
上記の通り、兵庫県初となった神戸大学での事例において、一定の効果を発揮した光免疫療法ですが、今後の課題とされている面もまだまだ多いというのが実情。
まず臨床試験での効果を示す「奏功率」が計43.3%にとどまっている点。そもそも、まだ対象者が30人のみで、完全奏功は4人(13.3%)、部分奏功は9人(30.0%)に限られている段階です。今回の治療に当たった医師からもまだ分からないことが多く、慎重に症例を重ねて精度を上げていくことが必要」という声が聞かれたとのこと。
また現時点で認可されているのは、治療対象が、切除不能な局所進行や局所再発の頭頸部(とうけいぶ)がんに限られているのも、大きな課題。放射線治療などを受けた経験があり、手術が適さないという条件も加わります。
光免疫療法では、部位に限らず抗体さえあればがん細胞をたたくことができるため、ほかのがんに対する研究も進められているものの、薬事承認を得るためは、部位ごとに膨大な費用や時間が必要となるというハードルが課せられています。
もうひとつ大きな壁となっているのが、光免疫療法を実施できる医療機関が全国でも約20施設に限られているという点。もちろん今後はその数を増やしていくものと思われますが、その拡大スピードは未知数となっています。
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