楽天メディカルが開発した光免疫療法イルミノックス治療

2020年9月、条件付き早期承認制度の下で「切除不能な局所進行・局所再発の頭頸部がん」を対象として世界で初めて承認を取得したアキャルックス(一般名・セツキシマブ サロタロカンナトリム)とBioBlade(バイオブレード)レーザーシステムを用いた「光免疫療法」を紹介。今後はがんの標準治療となることを目指し、研究が続けられています。

参照元:オンコロ/頭頸部がんに条件付き承認の「光免疫療法」 他のがん種や全身療法への応用を目指す臨床試験も進行中

光免疫療法「イルミノックス治療」とは

「イルミノックス治療」とは、楽天メディカルが開発した光免疫療法。選択的に特定細胞に集まる薬剤を投与後、特定の波長を持つ光を照射することによってがん細胞をはじめとする特定の細胞を壊死・排除させるものです。
局所進行・局所再発頭頸部がんを対象として2020年9月に世界で初めて承認され、2021年1月に保険診療で使用可能となったアキャルックス(一般名・セツキシマブ サロタロカンナトリウム)は、抗EGFR抗体セツキシマブと、光感受性物質・色素IR700を結合させた点滴薬です。イルミノックス治療を行う場合には、アキャルックスを点滴投与したのちに20〜28時間後にレーザー光を照射することによってがん細胞を壊死・排除させます。

切除不能な局所進行・局所再発頭頸部がんが対象となる

アキャルックスを用いた光免疫療法の対象は、「切除不能な局所進行・局所再発頭頸部がん」となっていますが、標準療法が行える場合にはそちらの治療を優先することとなっています。また、薬剤に対するアレルギーを持っている・頚動脈にがんが広がっているといったケースはアキャルックスによる光免疫療法の治療を受けることができません。
ちなみに、国立がん研究センター東病院によると、切除不能な局所進行・局所再発頭頸部がんの患者に対して行われた第Ⅰ層試験では、3例中部分奏効2例となっており、奏効率66.7%となっています。また、海外における海外での第I/IIa試験では、完全奏効13.3%、部分奏効30.0%となっており、奏効率43.3%。国立がん研究センター東病院で治療を実際に行った医師によると、「局所の殺細胞効果が非常に高い治療である」とコメントしています。
その反面、治療においては病変部の腫れと痛みなど有害事象に対する対策が重要となっています。周囲の組織が晴れることによって軌道が塞がってしまう恐れがある場合には、気道の切開を行うことによって気道確保を行います。また、痛みについては麻薬性鎮痛剤であるオピオイドを積極的に使用することで軽減。さらに、アレルギー反応などの副作用を軽減するための工夫や、光線過敏症になりやすい治療後には直接日光が皮膚に当たらないような工夫も必要になります。
頭頸部がんに対するイルミノックス治療の課題としては、「照射方法の標準化と手技の均てん化」とされています。また、安定的にレーザーを照射するための支援機器や腫瘍に対して光が当たっているかどうか確認するためのモニタリング機器の開発も課題です。

全国40の施設で治療を実施

このイルミノックス治療を受けられる医療機関には条件があり、日本頭頸部外科学会認定の指定研究施設で、常勤の頭頸部がん指導医、医師要件を満たす常勤医師、常勤の麻酔医がいるとなどの要件を満たしている施設で治療が受けられることとなっています(新たに治療を始める場合には、複数例の実施経験があるなどの要件を満たす指導医の招へいを行う必要があります)。2021年8月24日の時点ではイルミノックス治療を行える治療医は97人であり、秋には全国の40施設で治療が受けられるようになる見通しとなっています。

複数のがんの標準治療としての位置付けを目指す

楽天メディカルジャパンでは、光免疫療法に関する自社の技術基盤を「イルミノプラットフォーム」と呼んでいます。その上で、頭頸部がんと同様に局所治療の新たな選択肢を増やすこと、さらに全身療法としてのイルミノックス治療の活用を目指し研究を続けています。
楽天グループががんの治療分野に参入したきっかけは、同グループの三木谷CEOの父親がすい臓がんを患ったことがきっかけ。今後すい臓がんはもちろんのこと、複数のがんの標準治療としてこの治療方法が位置付けられることを目標としています。

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