2011年に開設されたセレンクリニック名古屋。院長は開業前から長年にわたって外科手術や抗がん剤、免疫療法を手がけてきました。2019年3月、院長自身が自分のがんを発見。それ以来、医師としての価値観と人生が大きく変わったといいます。
さまざまな治療を乗り越えて自身のがんを沈静化させた今、その経験が少しでも患者さんの選択に役立つことを願い、日々多くのがん患者さんに向き合っています。
クリニックで実施しているがん治療は保険適応外のため、治療費は全額自己負担となります。がんのステージや全身状態によって費用や治療期間、副作用なども変わってくるため、まずは医師に相談してみることをおすすめします。
セレンクリニック名古屋では、大阪大学の特許技術である「新WT1ペプチド」を2019年に導入。この技術を用いた樹状細胞ワクチン療法を受けられるのは、東海地方では唯一セレンクリニック名古屋だけです。(2020年3月時点)また、免疫チェックポイント阻害薬オプジーボとの併用治療をはじめとする「複合免疫治療」も積極的に実施しています。
参照元:セレンクリニック名古屋公式HP/大阪大学の特許技術「WT1ペプチド」
さらに大学病院や総合病院との連携によって、ピンポイントの放射線治療やがんカテーテル塞栓治療と免疫療法の併用も実施。がんを局所的に攻撃しながら免疫を強化するという「あきらめないがん治療」を実践しています。
満を持して2020年8月に光免疫療法が導入されました。こちらも東海地方では初めてです。
参照元:セレンクリニック名古屋/「光がん免疫治療」(マルチレーザーシステム)を東海地区で初めて導入のお知らせ。 – 2020年8月5日
光によるがん細胞の破壊と、がん細胞に対する免疫強化というダブルの効果が期待できる新しいがん治療法です。
同クリニックの光がん免疫治療では、医療レーザー機器「MLDS(マルチレーザーデリバリーシステム)」を使用します。身体の外部からだけではなく、0.5ミリのファイバーを用いて静脈血管内から光を照射することも可能で、がんの周辺に多方向から集中的にレーザーをあてられます。
使用する薬剤は、リポソーム加工を施した光感作物質です。光感作物質は色素の一種で、レーザー光をあてることでエネルギーを放出し、酸化反応を起こします。これを脂質の膜に包み、100ナノメートルというごく小さなサイズに加工することをリポソーム化といいます。点滴で静脈内に投与すると、がん新生血管の粗い隙間からこぼれ落ちてがん細胞にのみ蓄積されます(EPR効果)。
そこにレーザー光を照射すると、蓄積した光感作物質が反応してエネルギーを放出。酸化反応が起こると周辺の酸素が過酸化物質に変わり、それに取り囲まれたがん細胞が破壊されるというのがこの治療のメカニズムです。正常な細胞は過酸化物質を解毒できるので影響を受けることはなく、したがって大きな副作用もないと考えられています。
光感作物質は点滴で投与するため、まれに皮下血腫や神経損傷などを起こすことがあります。また、治療後に身体がガタガタ震えるような病的な寒気(悪寒戦慄)がみられる場合があります。
光免疫療法はすべてのがんの根治につながるものではありません。
セレンクリニック名古屋で行なわれている樹状細胞ワクチン療法とは、もともと私たちの体内の存在する免疫細胞の1つ「樹状細胞」を用いた治療法です。樹状細胞は枝のような突起を持っているのが特徴で、身体の中のがん細胞の目印となる抗原を最初に認識し、その情報を同じ免疫細胞のリンパ球に伝えてがん細胞への攻撃を命令する司令塔のような役割を担っています。
樹状細胞ワクチン療法では患者さんの血液から取り出した細胞を樹状細胞へと育て、人工抗原やがん組織などを与えてがんの目印をあらかじめ認識させたあとで、ワクチンとして再び体内に投与。その結果、樹状細胞の働きにより、リンパ球が身体のなかを隅々まで巡ってがん細胞のみを攻撃する仕組みとなっています。
セレンクリニック名古屋で使われる人工抗原は、アメリカのがん研究関連雑誌である「クリニカルキャンサーリサーチ」で最も優れたがん抗原と評価されたWT1の一部の「WT1ペプチド」です。(※1)WT1ペプチドを使った樹状細胞ワクチン療法は、樹状細胞ワクチンの研究開発企業のテラ株式会社が独占実施権を所有(※2)しており、愛知県内でWT1ペプチドを使った樹状細胞ワクチン療法を受けられるのはセレンクリニック名古屋のみとなっています。
BRM療法とは、体の中の免疫のはたらきを整える治療の総称です。BRM療法単独での有効性は明確に示されていませんが、樹状細胞ワクチン療法と並行して取り入れることにより、ワクチンの効果をより発揮しやすくする効果が期待できます。
BRM療法はすべてのがん治療と併用することが可能ですが、セレンクリニック名古屋では樹上細胞ワクチン療法を受ける患者さんのみを対象として実施しています。また、使用する薬剤に対してアレルギーがある場合は、BRM療法を受けることができません。
患者さん自身の免疫細胞を使う樹状細胞ワクチン療法は抗がん剤治療と比べて副作用の心配が少ないとされており、これまで行なわれた症例実績においても重篤な副作用は報告されていません。
ただし、ワクチンを注射で投与する際に痛みが多少あり、さらに体内の免疫反応により注射した部位に一時的な赤みやかゆみがあらわれたり、身体全体が発熱したりする場合があります。樹状細胞ワクチン療法は免疫の活性化を目的としているため、免疫反応による副作用は効果につながるために必要かつ重要な反応だと考えられています。
また、樹状細胞ワクチンを作成するには血液から樹状細胞の元となる細胞を成分採血で取り出す必要があり、その際に口のまわりや手足にしびれなどが起こるケースも。これらの症状は血液を固まりにくくする薬による血中カルシウムの低下が原因のため、カルシウムを補給することで症状が改善します。
樹状細胞ワクチン療法は、すべてのがんの根治につながるものではありません。
実際にがんを攻撃するリンパ球の数が少ない場合などに、体外でリンパ球を培養して大幅に増やし、体内に戻す治療法です。手術や抗がん剤、放射線治療、緩和医療などほぼすべてのがん治療と併用することができますが、とくに前述の樹状細胞ワクチン療法と併用することでがん細胞への攻撃力を高めることが期待できます。
注射の際に皮下血腫や神経損傷などの合併症がまれに起こることがあります。
また、すべてのがんの根治につながるものではありません。
NK細胞はがん細胞を攻撃するリンパ球の一種で、異常な細胞を発見するとただちに攻撃するという特徴を持っています。このNK細胞を患者さんの血液から取り出して培養し、攻撃力を高めてから体内に戻すのがNK細胞療法です。
前述の樹状細胞はがん細胞だけを攻撃するリンパ球を誘導しますが、がん細胞はその攻撃から逃れるために目印を隠すことがあります。NK細胞はそのようながん細胞でも攻撃できるため、樹状細胞ワクチン療法とNK細胞療法を併用することでより高いがん細胞への攻撃力を期待できます。
患者さん自身の血液から取り出したNK細胞を用いるため、アレルギー反応などの副作用は少ないと考えられます。しかし、投与後の発熱や、注射の際に皮下血腫や神経損傷などの合併症がまれに起こることがあります。
また、すべてのがんの根治につながるものではありません。
ここでは、セレンクリニック名古屋で樹状細胞ワクチン療法を受ける際の具体的な流れを紹介します。
樹状細胞ワクチン療法についての詳細な説明を受けるとともに、病状に合わせた最適な治療方針について相談します。なお、この医療相談は完全予約制です。
血液検査や画像検査を行い、樹状細胞ワクチン療法を受けられるかどうかを判断します。検査の結果が出るまでには、およそ1週間の時間がかかります。
白血球の一種であり、樹状細胞のもととなる「単球」を取り出すための採血です。およそ3時間かけて採血した血液の中から必要な成分だけを取り出し、それ以外の成分は患者さんの体内へと戻します。
成分採血で取り出した単球をクリーンルームで培養し、樹状細胞に育てます。さらに、がんの組織や人工抗原を与えることで、樹状細胞に攻撃するべきがんの特徴を認識させ、ワクチンとして完成させます。ワクチンの作成には、品質検査も含めておよそ3週間の時間がかかります。
出来上がった樹状細胞ワクチンを、2週間に1回のペースで注射します。3~4ヶ月かけて5~7回の注射を行い、1セットの治療とします。なお、局所樹状細胞ワクチン療法の場合は、注射の回数が4~7回となります。
1セットの治療が完了したら、血液検査や画像検査などを行い、治療の効果を評価します。また、その結果をもとに、医師と患者さんとの間で今後の治療方針について相談します。
1996年に東海大学医学部を卒業後、外科医として大学病院でがんの治療に携わってきた矢﨑が医学部を目指したのは、開業医の家に生まれたことがきっかけだったのだそう。大学病院で数多くの患者さんと関わる中で、やりがいを感じる一方治らない患者さんの姿を目の当たりにしたこと、さらに叔父や叔母をがんで亡くすという経験をしたことで、医師として何をすべきなのかを考えるようになりました。その中で、欧米のバイオベンチャーが治療法や新薬の研究開発を牽引しているのを見たことにより、「新しいがん治療を開発して世の中に普及させたい」といった思いが強くなったことから医師を辞め、創薬バイオベンチャーに飛び込んだという経験を持っています。
その後2003年より東京大学医科学研究所細胞プロセッシング寄付研究部門に研究員として勤務する中で樹状細胞ワクチン療法の臨床研究と出会い、2004年にテラ株式会社を設立。同社では医師として培ってきた経験を生かして、免疫医療に取り組んでいる医師や研究員と研究会を発足させ、がん治療の発展を目指しています。
2019年にはセレンクリニック神戸の総院長に就任し、その後セレンクリニック名古屋院へ。「がん医療のかなめは免疫にあり」という信念を持ち、がんの免疫療法に積極的に取り組んでいます。
セレンクリニック名古屋は、先進的ながん治療専門クリニックとして、東京大学や大阪大学などで開発された免疫療法の技術を積極的に導入しています。
手術や抗がん剤、放射線治療といった標準治療にプラスアルファで効果を高める治療法、それがセレンクリニック名古屋における免疫療法の考え方です。免疫療法が自身に合うのか、自身と似たがん患者さんの治療効果はどうなのか、何でも気軽に相談できるのもセレンクリニック名古屋の特徴です。
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