NK細胞療法

NK(ナチュラルキラー)細胞は、がん細胞を攻撃するリンパ球の一種です。Killer(殺し屋)の名の通り、異常な細胞を見つけ次第攻撃する特性があり、がん細胞も異常な細胞と認識します。

このNK細胞を患者さんの血液から採取し、攻撃力(キラー活性)を高めてから患者さんの体内に戻すのがNK細胞療法です。

“ナチュラルキラー”NK細胞を強化する「NK細胞療法」

NK細胞はリンパ球全体の10~30パーセントを占め、自分以外の細胞をも殺してしまうほどの高い攻撃力を持っています。

樹状細胞ワクチン療法は、同じくリンパ球の一種であるT細胞に目印を与えてがん細胞を攻撃させますが、このようにT細胞は攻撃対象を特定してやらなければ動きません。しかし、NK細胞は自律的に敵か味方かを判断して異物を攻撃します。

NK細胞ががん細胞を見つけるメカニズムも解明されています。正常な細胞は表面にMHC分子という抗原を持っていますが、がん細胞に変化するとこの抗原が消えてしまうことが多くあります。T細胞はこの抗原がなければ攻撃しない性質がありますが、NK細胞はこの抗原の有無をチェックし、なければ異物と見なして攻撃するのです。

従って、樹状細胞ワクチン療法とNK細胞療法を併用することで、それぞれの特性の違いを補い合って、より高い効果を期待することができます。

人間のNK細胞は20歳くらいをピークとして数が減っていきます。がんの発病は40歳前後から急激に増えていきますので、NK細胞の活性が低下することと関係性が深いであろうことが推測されます。そこでNK細胞を活性化させてがんを攻撃しようというのがNK細胞療法の基本的な考え方です。

樹状細胞ワクチン療法との併用が効果的

NK細胞が認識できるがん細胞は、およそ全体の60パーセントといわれています。つまり40パーセントのがん細胞を見逃してしまうということであり、いかに攻撃力が高いとはいえ、NK細胞療法だけでがんを治療することには限界があります。樹状細胞ワクチン療法との併用を考えるのもこうした理由からです。

しかし、がん細胞の増殖を抑えたり縮小させたりすることによって、患者さんの生活の質を高め、延命効果も期待できます。また、活性化したNK細胞は身体の隅々まで巡回するので、血流に乗って移動するがん細胞も発見して攻撃しますので、手術後の再発や転移の予防にも効果的だと考えられます。

どのようながんに向いているのか

NK細胞療法は、一部の血液がんを除いた多くのがんに適応があるとされます。

また、手術、抗がん剤治療、放射線治療といった三大治療のはじめ、ほぼすべてのがん治療との併用が可能です。

NK細胞療法の流れ

NK細胞療法を受けるにあたっては、これまでの経過や現状を十分に検討した上で治療が選択されることになります。この治療は国内では未承認の治療であるため、それを理解した上で治療に同意することが必要です。

まずはNK細胞療法を受けられるかどうか、血液検査や画像検査などをもとに判断します。検査結果に問題がなければ患者さんから採血をし、体外で高活性、高純度のNK細胞を培養します。これによって、健康な人の数倍の量となるNK細胞を得られます。

そうしたNK細胞は、生理食塩水に溶かして点滴で患者さんに投与されます。

NK細胞療法の治療期間や費用

NK細胞療法に用いるNK細胞の培養には2~3週間かかります。

実際の投与は6回程度で1クールとなり、治療期間としては約3カ月を要します。

費用は1クールで約150万円~300万円に設定されている医療機関が大半ですが、付随する検査などに費用を要する場合もあり、医療機関に確認することが必要です。

NK細胞療法のデメリットやリスク

NK細胞療法での重篤な副作用は報告されていません。ごくまれに発熱や発疹、倦怠感などがみられることがありますが、ほとんどが軽度の症状で落ち着いています。

NK細胞療法は先進医療で保険適用外となるため、他の先進的な免疫療法と同様に治療費は高額になりがちです。また、前述の通りNK細胞が認識しないがん細胞もあるということを忘れてはなりません。

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